②免疫細胞との関連

 私たちの腸には免疫応答をつかさどるパイエル板が存在しています。

パイエル板は日頃、活動したり、休憩を取ったりしています。パイエル板は発酵食品等が腸にやってくると刺激を受けて動き出します。マウス実験ではその状態を人工的に作り出すために、コンカナバリンA(タチナタ豆に含まれるレクチン)を用います。
 さてサイトカインとは、「さまざまな細胞から産生され、さまざまな細胞の働きを誘導する物質」の総称ですが、そのメンバーにインターロイキン2とインターフェロンγがあります。これらはがん細胞の掃除部隊(免疫細胞)を増やしたり、活性化させたりするものです。(ここでの掃除部隊とは、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、LAK細胞、キラーT細胞です)
マウスにハナサナギタケ(グラフ赤色)の二次代謝物を飲ませるとパイエル板からインターロイキン2とインターフェロンγが産生されることがわかりました。コンカナバリンAの刺激のないパイエル板でもそれらは産生され、コンカナバリンAで刺激したパイエル板からの産生量はケタ違いに増加することが分かりました。(グラフ①~④をご覧ください)

【ハナサナギタケ飲料後のインターロイキン2の産生量】

【ハナサナギタケ飲料後のインターフェロンɤの産生量】

この実験で興味深いのは、インターロイキン10も発生することです。(グラフ⑤~⑥をご覧ください)。インターロイキン10は免疫上昇の暴走を抑えるサイトカインです。免疫は一方的に上がればいいのではなく、上がりすぎればアレルギー症状やリウマチ等を引き起こします。下がればがんのリスクが高まります。どちらかに傾けば病気になるわけでバランスが重要です。加えて、アレルギーを引き起こすサイトカインであるインターロイキン4やインターロイキン5の産生はほとんど見られませんでした。

【ハナサナギタケ飲料後のインターロイキン10の産生量】

このようにバランスのとれたサイトカインの産生は大変珍しく、画期的な発見となりました。ハナサナギタケが持っているこういった働きをする活性成分は、高分子の糖タンパクであることもわかっています。これは世の中にまだ出ていない物質で、解明を急いでいます。(詳細は次のページをご覧ください)
上記のインビボ系(マウスに経口投与し、生体内で作用させる)実験は東北大学薬学部で行い、2005年の日本薬学会(東京都)で発表しています。またインビトロ系(パイエル板を取り出して直接作用させる)実験は東北大学薬学部で行い、2003年の日本薬学会(長崎市)で発表しています。
※マウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。